武士道は煩悩、人の全ての欲を捨てる事に始まります。武士道は矛盾そのものであり、滅私の教えでもあるのです。損得では納得の行く教えではないのです。確かに本能的な生き方は何か卑しさと獣的な印象を与えます。実はヒトラーを描いた”最期の十二日”と云う映画の中で地下シェルターに入り最期を迎えようとした軍人やその他の政府要人の実態を写し出した物語で、男女混合で酒を飲み、悦楽に耽るシーンがありました。
立派に総統とナチへの忠誠を示し、殉じた潔い者達も沢山いましたが、人間最期の破れかぶれの快楽をむさぼる姿が日本人の僕には目を背けたくなる思いでした。太平洋戦争の日本の軍人にそのような最期を迎えた者がいたでしょうか。いたとしたら許しがたい思いですが、幸いなことにあまりそのような話は聞きません。
しかし、明日戦死することが決定した特攻隊員がその直前に妻をめとり一夜を供に過ごした翌朝出撃して行った者は許せるのではないでしょうか。それは本能的な自暴自棄行為ではないと武士道のモラルと言い切れるのです。
2010年10月6日
一風
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