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日本人が自然に受け入れた武士道精神とは

寅さんのシリーズがあれほど永く人々に愛されたのは偏に日本人の良心である義理と人情に支えられた物語であったからなのです。人を愛し、人に愛され敬い、情けを知り義理に生きる主人公の哀しいまでに一途で屈託の無い人生は言い換えれば武士道の精神そのものなのです。耐えて忍び、痩せ我慢を通し、孤高の独り善がりの人生。それこそがサムライの最も大切にしたものではなかったでしょうか。武士道で難しく仁とか義を説く以上に人々の心に入り込み喜ばせながら我々の心の故郷を何時も見せ、聞かせてくれた寅さんを今もなお懐かしく思います。端から見れば割の合わない施しに思えたり、割を食ったように思えますが寅さんはそれで良いのです。それが寅さんの正義であり誠でした。全ての悲哀を背負い”アバヨ”の一言を残し潔く消え去る。”男はつらいよ”でありサムライの道に同じなのです。

 

2010年7月7日

一風