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妻をめとらば

妻をめとらば 才たけて 

みめ美わしく 情あり 

友を選ばば 書を読みて 

六分の侠気 四分の熱 

 

我にダンテの 奇才なく

バイロン、ハイネの 熱なきも

石を抱いて 世にうたう

芭蕉のさびを よろこばじ

 

わが歌声の 高ければ

酒に狂うと 人の言う

われに過ぎたる のぞみをは

君ならではと 誰か知る

 

げに青春の熱えわかぬ

もつれてとけぬ 悩みかな

君が無言の 名残かな

 

ああ青春の いまがゆく

暮るる早き 春の日の

宴のもりの はなむしろ

足音もなき ときの舞

 

皆さんの中に上の詞をご存じの方いらっしゃいますか。歌詞を美しいと感じるでしょうか。今は使われることもない表現がありますが、美しいと感じたなら諳んじて下さい。何となく意味も分って来る筈です。詞はそれぞれの感覚で捉えるもの。注釈は不要ですが、道案内に下に私の解釈を載せて見ました:-

1-

『嫁をとるなら頭が良く、美しく優しい人が良い。友達を選ぶならば本を読み向学心豊かで義侠心と情熱溢れる男が良い』と言う意味ですが、今の世には通用しないのでしょうか。そうは思いたくないのですが。

 

2-

『自分には詩人のような才も情熱もないかも知れないけど、わびさびを謳う芭蕉を好きとは思えない』これは好みの問題ですが、芭蕉には華やいだところがないからでしょうか。この詞は与謝野鉄幹氏が青春期に詠んだものであればやはり華がなくてはなりません。春には華です。 

 

3-

『大声で唱えれば人は酔っていると言うだろうが、この自分の願望を君以外の誰が判るものか』君(思い人)に理解されていたい思いなのでしょう。  

 

4-

『実に青春に燃えることも出来ぬ答のないこの苦悩。もの言わぬ君の微笑みは、残る想の切なさか』むせるほどの狂おしさを感じます。

 

5-

『今、青春は過ぎ行て行く。春の夕暮れはあっと言う間に訪れる。庭園での宴の 

花の敷物を足音もたてず舞い去って行くようなものだ』貴方の青春もそうだったのではないでしょうか。

 

何となく幼少期からこの詞の美しさに惹かれるものを感じておりましたので、今回紹介致しました。

2008年8月末日